
天ぷら開発のあれこれ話
こんにちわ
今回は天ぷら開発に関するあれこれのお話しです。
私たちサクラみそ食品はみそや麹製品だけでなく、
乾燥天ぷら製品の製造・販売も行なっています。
当然、乾燥天ぷらの新商品開発も行っているのですが、
そんな中で様々な理由で試作段階で失敗判定になる商品が出てきます。
今回はそんな商品の一つ、「ごぼうたっぷりかき揚げ(仮称)」のお話しです。
一般に乾燥天ぷらは円盤状の衣の上にトッピングとして具材が乗る形態のため、
具材が天ぷらの衣の大きさより小さくなってしまいます。
このごぼうかき揚げは、具材のごぼうに衣を後掛けするような感じで製造することで
具材のごぼうの分量をより大きく存在感があるように、と考案されました。
試作の結果は……、結果的に失敗となりました。
形はそれらしいものになり、食べてみるとごぼうの存在感がある天ぷらに
なったのですが、水分の多いごぼうが割増の状態だと、ごぼうの内側の水分が
抜けきれない状態になってしまうのです。
出来立てで食べる普通の天ぷらと違い、乾燥天ぷらは長期保存できることが大前提。
内部に水分が残ると保存中にカビや変質の原因になる為、製品化できません。
油を低温で長くフライしたり、形状を変えたりなどいろいろアプローチしたのですが、
結局、天ぷらの外側を程よく仕上げると、中のごぼうの水分がどうしても抜けきれず、
逆にごぼうの中まで熱をしっかり通すと、今度は外側が揚がり過ぎて味がなくなったり
焦げて苦くなったりしてしまいました。
また、ささがきのごぼうを押し固めるように油に投入しても、フライ中にごぼうの
固まりが解けて形状が安定せず、かと言ってガチガチに固めすぎるとごぼう内部の
水分残りがさらに悪化する悪循環。
このような製造中のロスが大きくなりそうな問題が多数見つかったこともあり、
製造難度とコストが見合わないとの判断で、今回は失敗判定になりました。
商品開発は何十回に1つ成功があれば良い方だと言われています。
今回の失敗も成功のための糧として、無駄にしないよう
日々精進していきます。